広告の説明責任を果たす「媒体と内容」への対応方法

広告実務の12ステップ
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広告するときの要となる、媒体×内容について。
焦る気持ちはありますが、まずはこのテーマについてどんな議論があるかを整理します。これによって、自身が抱える問題、想定される反論の角度へ備えていきましょう。

1.媒体と内容の「選択可能性」

どの媒体を選んだらいいか、内容はこれでいいか。
媒体によって内容の選択はいいか。という角度があります。良し悪しの判断は、後述する「戦略的判断」に譲り、ここでは“どれだけの選択肢を組織として作るか”ということについて触れていきます。

基本的に、使えるものは何を選んでもいいです。
ただ、実務者として実行可能な選択肢は限られてくると思います。
① これまでの法・条例に沿ったもの
② 組織が過去に行ったことがあるもの
これが現実路線として選択肢に乗ります。

基本的にはここでおしまいですが、実務者の仕事は組織を成長させることにあります。

そのためには、実績を振り返り、現状を確認して、媒体と内容に対する問題と課題を導きます。
③ 媒体と内容の課題(1~複数)
課題形成を目的とした企画を実務者が立案し、「過去を踏まえた媒体と内容の課題」の組織的な合意形成をします。

そうして、初めて媒体と内容の選択肢が増えます。
④ 課題を解決するための案
として、新たな選択肢が漸く加わっていきます。

広告の理論や正論で突っ込んでも、現状からの飛躍が過ぎると、そもそも誰も付いてきません。組織のレベルに合わせた対応がベストです。
こうして、過去の媒体と内容の問題から出発し、課題を解決していくことを続けて、組織的な能力のレベルアップを続けていきます

2.媒体と内容の「戦略的判断」

過去の既定路線でも、今回加わった課題解決による新たな選択肢でも、どうするか決めなければいけません。

基本的には、「コスト」と「効果」を判断材料にして決めますが、実務的には「コスト」でしょう。
ここでは、意思決定するときのチェックポイント=突っ込まれるところを挙げていきます。
実務者的には、説明責任を果たすことが仕事です。

(1)効果

そもそもの広告する目的に向かい、広告という手法でどんな目標を達成するか。
基本的には、この目的観・目標観に従った媒体と内容で組み立てていきます。
どのように組み立てるも自由ですが、組織内で合意形成を想定すると、次のポイントで突っ込みがあります。

①判断は基本的に目的と目標に手段(媒体×内容)が合っているかの確認のみで、良いも悪いもありませんが、目標設定が甘いと、ここでアレコレともめます。
→広告の目標設定

②アウトプットのクリエイティブを作成者が誰かという問題(関心)があります。それで満足いくものができるのか?という追求がある。
→取引先の選定と管理

③目標に対して媒体選択と出稿量への追求がある。
これは理論で対応可能。
→ターゲットの量と質に対応する媒体

④目標に対して内容への追求がある。
これはコンセプトの立て方と、チェックプロセスへの組み立てで対応可能。
→コンセプトの立て方とチェックポイント
→クリエイティブチェックの社内プロセス

(2)コスト

この目標達成に、いくら出せるかという問題ですが、指摘は期待値と満足度で拠出額が判断される。

①コストの問題は「広告しようかな」という段階で大筋の費用イメージを合意しておくことが前提。
→前例の確認

②高いか安いか
高い安いというコメントは、外部からの見積りが問題ではなく、自部署で水準を持って判断しているかという指摘。価格の精査は必須で、組織内で費用の妥当性を論理的に説明する責任を負います。
→見積りの精査

一方で、組織が「コスト優位戦略」を取っている場合や経費削減が基調路線としてある場合には、注意が必要。この場合、自部署のコスト水準が、戦略実現のための組織効用として設定されています。
→組織効用:コスト優位戦略下での対応

③取引先への言及があります。コストの高い安いという指摘に対応して、この会社でなければいけない理由が必要です。
→取引先の選定と管理

3.媒体と内容の「管理射程」

媒体と内容の選択と決定で、そもそもの土台が合っているかという部分です。
事業や活動が、拡大戦略か、維持・収穫戦略かで媒体と内容の管理範囲が異なります。
そのため、戦略の方向性によって、説明の仕方、切り口が全く異なっていきます。

①モノ管理での射程
事業・活動が、維持或いは収穫戦略を取っている場合、広告は投資同様に拡大やチャレンジすることなく、これまでのスタンダードな方法になる。
媒体と内容は、「モノ」で管理し、媒体毎のコスト管理や内容(クリエイティブ)の効率化になる。
そのため、広告をモノという射程で捉えて、管理を徹底し予測と統制を容易くする必要がある。

この戦略時には、媒体と内容個別にカテゴリー管理を精緻化した説明が適しています。なぜなら、状態の持続を求めつつ、徐々にコストカットへと向かっていくため、関心は管理可能な科目へとシフトするからです。

②コト管理での射程
事業・活動が、拡大戦略を取っている場合、広告は投資同様に大きなチャレンジを求められていく。
そのため、媒体と内容は「コト」で管理し、ケース単位で“こんな状況でこれをした結果こうなった”を増やしていく。
そのため、既定の媒体や内容に縛られることなく、様々な事例を集めて、来るべき維持・収穫戦略期に備える。

この戦略時には、お祭りムードの中で、何をするか(コレをしよう)という説明が求められます。なぜなら、事業や活動を伸張させるため、突破口が求められています。関心は、“何をやったら良くなった”のかです。