広告するときの裏技

広告するときの「合意形成」の裏技。すべては意思決定するために。

広告実務者の裏技を紹介するブログ。

組織の広告実務者が何をしているか?
「会社の広告部門って何やってんの。
どーせ広告会社にまる投げしてるんでしょ(笑)」
といわれ、憤りを感じたのがブログを書くきっかけだ。

広告部門・担当者の仕事を端的にいうなら「広告に関する意思決定」をしている。意思決定するために、目標を定め、企画を立て、管理をし、調整に奔走する。そうして、金を払い、行った結果を報告し、次へと繋げる。

こうした一連の機能がなければ、組織が広告をすることがない。
この機能を合意形成といいます。

企画を立てるとか、クリエイティブをどうのというのは、仕事全体のごくごく一部でしかない。全ては、「広告するという意思決定」を獲得するために、「合意形成」というプロセスで用いられるパーツでしかないのだ。

意思決定という一点に向かい、組織をどう切り回していくか。
会社のトップが「テレビCMで10億使って、CMキャラクターは××だ!」と叫んでも、広告は行われない。同じように、広告担当者が「売上増強のため、ネットで3000万のプロモーションをしよう!」と入念な企画書を作っても、広告は行われない。
思いつきのアイデアだろうが、幼稚な企画だろうが、「やる」と意思決定できたものだけが、世に広告として登場していく。
この事実を認識しなければ、なにも始まりません。

全ては「合意形成」にかかっています。

1.合意形成とは

合意形成(ごういけいせい、英: consensus building)とは、ステークホルダー(多様な利害関係者)の意見の一致を図ること。特に議論などを通じて、関係者の根底にある多様な価値を顕在化させ、意思決定において相互の意見の一致を図る過程のことをいう。コンセンサスともいう。特に国民全体の合意形成をはかることをナショナル・コンセンサス、合意形成を図る過程のことを合意形成過程ともいう。 引用:Wikipedia

広告をする/しない。するとしたら、具体的にどのようにするのか。
……ということを組織的な意思決定を促すために、部門担当者がいます。

そのためには、組織が協働関係を形成できるように導く必要があります。
営業部門が売るための体制を整え、調達部門が商品の供給を完了させ、
経営が一連の動作を鳥瞰で認識できる。

速やかに互いに理解と納得をしたいので、
議論の中心として「戦略」及び「課題」と「目標」、「効果」と「コスト」で
意見を出し合える状態を作り、飽和状態≒満足に至るまで調整を図ります。

2.合意形成の「機会作り」とタイミング

意思決定前と意思決定後、2つのタイミングがあり、組織の垂直・水平にそれぞれ展開していきます。

(1) 意思決定前

関連する部門と横断的に話し合いを重ねます。
要請部門が営業部や経営といった他にあり専門部門(専任担当者)として対応する場合、フォーマルな会議とインフォーマルな対話の「機会」を作ることが仕事になります。会議の議事録は、公式な意思決定として組織内に公布することで、段階的に議論が重ねられていることと、具体的に何が意思決定されたかを周知させる効果があります。

要請部門が自部門の場合も、部門内でフォーマルな会議を開きましょう。会議でなくとも、社内SNS等で議論と意思決定の過程=合意形成を公表することで、関係者に具体的に何が意思決定されたかを周知させられます。

事前のフォーマルな合意形成の会議は3つのポイントで行われます。
1つは課題~目標の合意形成、2つ目は効果とコストの合意形成、3つ目に全体を通して企画実行の意思決定になります。
これを1回の会議で行っても、複数回の会議で行っても構いません。

(2) 意思決定後

意思決定がとられたのち、会議には参加していないが協働していく人全員に強力を仰ぐために内容の伝達をします。これも合意形成の延長線上にあります。

というのも、広告をすることが上層部の会議で決まっても、
その末端にまで意思を伝えて動かしていかなければ、当然組織は動きません。

パターンは2通りあります。

① 広告部門・担当者が関係者に伝達し協力要請を仰ぐ。
② 各部門の責任者・担当者が部門内に伝達する。

先の意思決定前の合意形成時点で、この役目を誰がするか決めておく必要があります。
本来的には②のパターンになりますが、①のパターンもあります。この場合、出すぎず出なさすぎずといった、バランスをもったリーダーシップが求められます。

どちらの合意形成も、関係者が様々な立場で意見をすり合わせ理解を深め、納得感を高めいくことが目的です。そのために「合意形成の機会作り」が広告担当者の仕事になります。

3.合意形成する「議案作り」

事前にせよ、事後にせよ、何について議論をすべきかを定めなければ、参加者は目の前のクリエイティブに惑わされ、好きとか嫌いとかバラバラの雑談に陥ります。
それを仕切るのが、広告部門・担当者の仕事です。

日常生活で、広告に触れない機会はありません。触れたときに、それぞれがそれぞれの主観で評価をします。ビジネスに携わる人ならなおのこと。いざ、自分たちが広告をしようという段階になったときに、そうした主観的な評価が担当者を含め噴出していきます。この状態を回避し、いかに冷静に意思決定していくかが仕事の腕となります。

フォーカスすべき議題=アジェンダは以下の5点です。

(1) 課題

何が問題になっているのか? どうしてほしいのか?
解消したい課題は具体的に何で、その「重さ」や「優先度」は他と比べどの程度か。
この出発点ではき違えると、この後に控える議題への価値観が異なってきます。
課題が合っている合っていない、重い軽い、今すぐか半年後か…という方向性を促します。

(2) 戦略

組織全体、及び事業や活動の位置づけを再確認します。
コスト優位で考えるのか、効果優位で考えるのか、基調路線がどこにあるかを押さえます。
戦略や位置づけの認識が正しい誤っている…という方向性を促します。

(3) 目的と目標

課題と戦略で、本来の活動として目的は何で目標は何か。
そのために、広告することでどのような目標を定めるかを合意します。
単純に、目標が合っている合ってない…という方向性を促します。

(4) 効果

活動目標に対し広告目標がいかに貢献するかを合意します。
これまでの実績からの期待度合い、或いは実績のないチャレンジか。
課題と戦略に基づいて判断を促します。
効果に対して期待が薄い、以前から効果は減退している…といった方向性を促します。

(5) コスト(経費に加え時間と労力)

かかる経費、手配に要する時間、実施前後で協働するために割く労力。
これらを課題と戦略に照らし合わせ、かつ効果と対比して判断を促します。
もっと安くしろ、手間を減らせ、時間を減らせ…といった方向性を促します。

 

広告実務者の裏技では「合意形成」を解説しました。

広告部門や広告担当者の仕事は「広告に関する意思決定」をしています
そのために、組織内で合意形成を取り仕切っていき、舵取りの巧拙で組織のまとまりに大きな差が生じます。

広告するときの合意形成の仕事は「機会作り」と「議案作り」をします。

そもそも合意形成を関係者と行うための機会を作り、そこで関係者を巻き込んで事前と事後の理解と納得を高め、意思決定と実行に向かいます。

合意形成において、参加者の好き嫌いで話が始終しないように、何を意思決定するかを明確にさせます。決して媒体や内容というちっぽけな話に行かないよう、課題・戦略・目的と目標・効果・コストの5点を中心に議論します。

戦略実現のために目標が合意されていれば、
目標達成のための手法はプロ=広告部門や担当者に任せる。
という状態獲得のため、
「広告効果」のほどについては誰よりも一番わかっており、全員の信頼を得なければいけません。

合意形成の重要さ、仕事の殆どについて今回まとめました。
そろそろ、広告効果について触れていきたいと思います。