広告するときの裏技

「広告効果」のやり方②目標設定が重要、広告目標の種類を紹介

広告実務者の裏技を紹介するブログ。

仕事上「広告効果」のやり方を丁寧に紹介していきます。

基本的には、MBO(Management by Object)の考え方でOK。広告だからどーの、という特殊性はあまりありません。

基本的には、コンセプチュアル・スキルをフルに発揮させるのですが、担当者レベルでそんなスキルを持っている人は稀です。
広告が理系より文系が向いている…と通俗的に言われるのも、適切な言葉を選べる語彙量に差があると思われているだけで、別に理系でも問題なし。

広告目標の設定だけで考えれば、AIDMAなどの理論を拝借するとフレームワークに当てはめて設定する手助けになりますが、結局のところ「どんな目標」にするかは、
①目的に対しどんなで“仕掛け”に基づいて目標を作るか
②目標を表現する言葉の妥当性
といったことが決め手になります。

ここでいう仕掛けのことを“海図”と表現されたりします。
(水野由多加「広告計画のマネジメント」、水野由多加・妹尾俊之・伊吹勇亮『広告コミュニケーション研究ハンドブック』)

基本的には目的に合致した目標設定が大事な仕事としてあります。
しかし、どのような「目標」が良いか
広告目標設定のヒントが欲しいというところで、
2つの角度からヒントを提供したいと思います。

広告効果ってどうしたらいいの? 測定は? そもそもあるの?
という疑問の声が多いですが、
“目標設定”こそが、広告効果に関する第一のそして唯一の仕事です。
もうね、これができれば、あとはどうとでもなります。

1.広告効果で実務者がすること

(1) 目的設定

そもそも、なぜ広告することになったのか。
事業の促進なのか、活動の促進なのか、それともやっかいな経営課題の解決か…という上流にある目的をはっきり認識します。

それに付随して、どの程度解決したいのか、広告にかける重み、期待はどの程度かを認識し、自らで目的の設定を行います。
前例確認

(2) 目標設定

期待や重みを含んだ目的に対し、広告という守備範囲で何が達成されれば良いか。
或いは、どういう「仕掛け」を組み立てれば良いかを検討し、立案します。

本来的には、その仕掛けとの連動で「広告目標」が設定され、その効果を発揮する媒体×内容が考案されていく…のですが、全くの手がかりなしで、さあ考えようといっても無茶な話。

色々なアプローチありますが、
今回は「どんな広告目標」があるのか。
この問題について2つ紹介したいと思います。

2.広告目標の種類

広告効果の測定を可能にし、マーケティングや、経営課題解決といった目的に直結し、仕掛けを作動させそのベンチマークにふさわしい「目標」はいったい何か?

いろんな組み方がありますが、結果としてどのような目標があるのか(あったのか)を2つの紹介したいと思います。

(1) 岡田米蔵(1995年)「広告の実務虎の巻 広告マネジメント」

広告六法でお世話になった岡田米蔵氏がまとめた実務向けテキストから、八巻俊雄氏作成によるという但し書きつきで紹介されたリストの一部を紹介します。

・岡田米蔵氏…巻末の紹介を読むと、日立製作所の各宣伝部を経たとのこと。広告主の実務者です。
・八巻俊雄氏…日本の広告界で知らない人はモグリ。黎明期の広告学会を築き、日本にDAGMARの導入に尽力された方です。詳しくはWiki等で。

文献(P.50)によることをざっくり概説すると

広告目標」に対応する「心理過程」を関連付け、実際に広告に求めていく効果に対応する「効果測定」すべき指標とその「効果測定方法」を対応させた図式が示されています。

広告目標は4種(伝達・訴求・態度形成・購買行動喚起)、心理過程は大きく6種(接触・認識・興味・連想・態度・購買行動)、詳細で8種、効果測定は34種挙げています。

一部を文献(p.50)から抜粋すると

目標:伝達
とするなら
心的過程:接触-知覚

に作用する広告で
効果測定:

①注目率、②視聴率、③聴視率
④認知閾、⑤弁別閾
⑥目立ちやすさ
を広告物の効果として測定する

という具合です。
(※枠内の太字が引用、その他が追記)

重層的な概念が理論に裏打ちされた形でキチっと整理されています。
勉強になりますので、実物は図書館等で、その目で見て欲しいと思います。

(2) 日経広告研究所(1976年から各年) 「広告効果の把握に利用するデータ」『広告動態調査』

目標≒効果として計測する指標として考えると、日経広告研究所が1976年から継続して調査しているデータも参考になります。

広告主が何を「広告効果の把握に利用するデータか」についてアンケートした結果です。

時代の移り変わりと共に、様々な指標が加わってきます。TVで視聴率調査の可能と共に「視聴率」が加わったり、ネットの登場と共に「サイトへのアクセス数」等。さらには考え方の発展により「企業イメージ」や「ブランド」という概念が加わったりしています。

1976年からの指標を並列で列記すると

知名、認知、注目、理解、購買意欲、商品・ブランドの利用率、企業イメージ、好意度、ロイヤルティー、広告の好感度、売上推移、利益、POSデータ、来客・入場者数、景品応募・資料請求・問い合わせの件数、販売員・営業現場の反応、マーケットシェア、ブランドシェア、視聴率、アクセス数、書き込み数等
(同著各年より抜粋 @871調べ)

という感じ。

ただ、王道過ぎるし抽象的な語が多いので、実際に組織を率いたり、“仕掛け”に当てはまる語はないかもしれない。
こういった抽象語を「生きた言葉」にする必要があります。“組織の語彙”を使って工夫を施すのですが、またの機会にしたいと思います。

 

広告するときの裏技で、広告効果シリーズ第二弾。
広告効果で実務者がすべきことに触れました。

端的にいうと、
広告効果するときには、先に目標設定する。

これだけです。

ただしこれが難しい。
ノーヒントでできるほど、生易しいものではない。

今回は2つのヒントを紹介しました。
日本の広告では王道であり原点、一方は広告主のトレンドを追ったもの。
検討材料にするには良質な情報と考えて、間違いはないでしょう。

様々な指標の確認方法、確実な情報の在り処を書きました。あとは、どうぞご自身で図書館やAMAZONにアクセスして下さい。

ただ、実際に組織を引きまわしていく「生きた言葉」にするためには、工夫が必要です。